認知症者の残存能力

1. 昔の記憶 (遠隔記憶)

2. 動作の記憶 (手続き記憶)

3. 感情

4. 身体機能

5. 社会性


作業回想法

 作業回想法は従来の回想法に古い生活道具などを使う作業を組み合わせたものです。認知症者の残存能力が発揮されやすく、脳活性化リハの5原則に基づいて実施しやすい回想法の手法の一つです。

   作業回想法では、対象者が体験してきた家事、手仕事、遊びなどをテーマに、なじみのある懐かしい道具を用い、スタッフに対して作業の仕方を指導してもらうように進めます。 

    認知症の人が慣れ親しんだ古い生活道具を見たり、触ったり、匂いをかいだり、五感を刺激しながら昔を懐かしむことが原則①の「快刺激」となります。


 

    認知症になっても比較的保たれやすい昔の記憶 (遠隔記憶)の回想を促すと同時に、作業を通じて認知症になっても保たれやすい手続き記憶 (動作の記憶)を活用するため、従来の会話のみの回想法よりも能力が発揮されやすく原則⑤「失敗を防ぐ支援」が可能です。

   道具の使い方を実演してもらうことで様々な手振り・身振りが出現し、楽しい雰囲気となります。


   

 

 

    スタッフに対して作業の仕方を指導することで、高齢者本来の「人に教え伝える」という原則④の「役割」を果たします。


 

  

  グループ内で思い出を語り合うことが原則③の「双方向コミュニケーション」となります。

  スタッフは指導してもらった御礼を伝えることで原則②の「ほめる」が自然に行われます。


引用文献

*山上徹也:脳活性化リハビリテーション. 山口晴保 監, 松沼記代 編, 明日から使える!高齢者施設の介護人材育成テキスト. 中央法規出版 , p163, 2017

*山口晴保, 佐土根朗, 松沼記代, 山上徹也: 認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント

   ~快一徹!脳活性化リハビリテーションで進行を防ごう~第3版. 協同医書出版, 2016.